WEBマガジン『神秘之國、日本』
小説&オカルト辞典『モーツァルトの血痕』
プロローグ・日本人の諸君へ
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プロローグ
日本人の諸君へ
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私はエマヌエル・シカネーダーである。
と言っても、ほとんどの諸君がそんな名前など存じていないだろうし、興味を持つこともなかろう。だが、こう言うと私という人物に少々興味が出てくるのではなかろうか。
私は、あの有名な作曲家、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの親友であった。彼の最後のオペラ作品となった『魔笛』の台本を書き、初演時の演出家であり、主要な役であるパパゲーノを演じた役者であり、上演された劇場の支配人であった。
そして、これが重要なことなのだが、秘匿され、ひどく謎めいた彼の「死の真相」を知る唯一の人物である、と……。
そしてその真相を語る為に、今、黄泉の国から日本人(Javonishen)である諸君の前に現れた者である。
どうかな?
これで私という人物に、少しは興味を持たれたであろう。
もう一つ、これが肝心なことだ。
私がこれから語ろうとするヴォルフィー、と、私は彼のことをそう呼んだが、モーツァルトの死にまつわる奇妙な出来事は、実に、今の日本人、つまり諸君たちと深く関わってくるものなのだ。そろそろここに、気づいていただきたいのだ。
『魔笛』!
諸君はこのヴォルフィー最後のオペラをご覧になっているだろうか?
日本では、ありがたいことに、何度も何度も、『魔笛』をはじめ、ヴォルフィーの作品を上演、演奏をしてくれていると聞いている。私とヴォルフィーはまさにそれを望んだのだ。
だが『魔笛』に対しては、日本人である諸君はどういう感想を持っておられるのか。
何かを嗅ぎつけたのか、何か思うことがあっただろうか。
教えてもらいたい。
夜の女王のアリアが有名なのだろうか?
パパゲーノという名前はどうだろう?
フリーメーソンと関係しているというのは本当か?
それとも、あくまで高名な音楽家モーツァルトの一作品という認識でしかないのだろうか?
しかし、このオペラに、日本人である諸君に向けた特別なメッセージが込められている……としたら、どう思われるだろうか?
これは戯言ではない。誓って、真実である。
そして、後世の学者や研究家が指摘したように、この『魔笛』を作ったことによって、ヴォルフィーは死に至ったのだ。このことは、私が断言する。
なぜならば、『魔笛』は、私とヴォルフィーの二人によって、ある重要なメッセージを暗号化し、封印するために、熟考され、緻密に組み立てられたものであるからだ。
さらに言えば、こりのオペラの企画発案者がもう一人いる。
. 『彼』のことは、後に詳しく述べることになるし、それを避けては通れぬが、その『彼』こそは、当時のヨーロッパにおける政治、文化、科学に最も影響をもたらす偉大な人物の一人であった。その『彼』の立場を理解せぬことには、この謎は永遠に解けるはずもない。
ともかく、私とヴォルフィーと、もう一人の『彼』によって、緻密な作業を重ね『魔笛』の中に巧妙に封じ込め、暗号化したメッセージを、日本人である諸君が解読することこそが、日本人たる諸君に託された命題であったことも、最初に断っておこう。
その『魔笛』の解読こそは、
“太陽の光が夜を追い払い、
偽善者の不正な力を打ち滅ぼし、
汝らは清められ、
美と叡知には、
永遠の王冠が飾られる”
ことが意味されるのだ。
そしてヴォルフィーも、もう一人の『彼』も、これが為に殺された。
私だけが生き残ったのだ。
このことが、ヴォルフィーの暗殺説の証明を難しくしたところであるらしい。
だから、この点についても、私の口から真実を明らかにしようと思う。
ともかく、ヴォルフィーの死後も200年以上も経った今日に至るまで、ついに誰一人賭して『魔笛』に込められたメッセージを解読しえなかったのである。いや、そのメッセージを熟考した演出解釈も、私が知るところ、過去一度もして披露されていない。これは残念でならない。
だがそれは、無理もないことなのかも知れない。
『魔笛』は、初演された当時から、奥深い知識と鋭い考察力が無いと理解できないとされていた。そして、フリーメーソンの奥義を知る必要もあったとされた。
フリーメーソン!
そう、ヴォルフィーに私、そして『彼』も、フリーメーソンに所属していた。
しかも『彼』は、ヨーロッパにおける重要人物で、先ほど述べたように、そのフリーメーソンの奥義と隠された真の叡知、本質を知りえる立場にいた。だから……。
いや、慌ててはいかん。
これから、じっくりとこの不可解かつ重要な話を、じっくりするとしよう。
フリーメーソンとは?
モーツァルトの死に関する謎とは?
『魔笛』には、何が封じ込められているのか?
そこに秘められた、諸君、つまり日本人へのメッサセージとは何なのか?
それらの全ての真相を、黄泉の世界から、諸君に語りかけることとしよう。
先の見えない、未来を救うがために。
君たち、日本人が『魔笛』の主人公タミーノ王子となって、
“本当に闇を払い、偽善者を打ち砕く” 為に。
※色が違う箇所がありますが、意味意図はありません。
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